非結核性抗酸菌症そらりす

非結核性抗酸菌症の患者の日常・投薬歴・入院歴です

「暗黒街のふたり」はギャングものではなかった

暑すぎるので気をまぎらわせようと、録画しておいた映画を見ることにしました。かなり前にケーブルテレビでやっていたフランス映画特集かアラン・ドロン特集の「暗黒街のふたり」。よし、これにしよう。

 

「暗黒街のふたり」というタイトルからして、たぶんギャングものだろう、ジャン・ギャバンアラン・ドロンという世代の違う名優の共演というから、きっと渋くてしゃれたピカレスクものに違いないと思って見はじめたのですが…

 

まずジャン・ギャバンが登場です。渋いおじいちゃんでほれぼれしますが、なぜかギャングじゃなくて「保護司」。あれ?変だな。でもこれは世をあざむく仮の姿かもしれない。

 

次に、アラン・ドロン登場。10年前に銀行強盗で逮捕され、服役後ニート。この若者が保護司に世話をしてもらい印刷所に就職…あれ?偽札でも作るのかな?

 

保護司は若者にとても親切で、家に招いたり、保護司の娘や息子たちは若者といっしょにサイクリングにいったり…あれ?

 

サイクリングからギャングものにはならないよな。いや、絶対ならない。暑さでぼけたアタマの私もさすがに気がつきました。

 

いったん、レコーダーを止めてネットで調べてみると、ぜーんぜん違ってる。銀行強盗の罪で服役した過去をもつ男が保護司の協力で堅気になろうとする、社会派ドラマでした。

 

フランス語の原題は「街のふたり」というほどの意味らしいです。「暗黒街の」という邦題がいけないと思う。だまされちゃった気分です。

 

続きを見ると、幸せそうなシーンはサイクリングあたりで終わり、後半は「一度犯罪を犯した者は決して更生しない」という信念のもとに生きる憎たらしい刑事が表れて、若者を追い回す、陰鬱な展開が待ち受けていました。

 

これって、ギロチン反対、死刑反対のメッセージを強くはらんだ映画だったんですね。実際、この映画公開の数年後にギロチンは廃止、そのまた4年後に死刑が廃止になったそうです。

 

この映画は1973年公開ですが、70年代にギロチンで死刑を執行していたとは、ちょっと驚きです。

 

えらく勘違いしてしまった映画鑑賞でしたが、これだけ勘違いしながらも、ふたりの名優の存在感や魅力はしっかり伝わってきたので、名作には違いないと思います。

 

特にアラン・ドロンってあれだけ美男なのに、ちらちらっと育ちの卑しい感じが漂うのが不思議です。秋になってアタマがはっきりしてきたらもう一度見ようかな。

 

 

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