非結核性抗酸菌症そらりす

非結核性抗酸菌症の患者の日常・投薬歴・入院歴です

「サル学の現在」が2円で読めるよ

 

サル学の現在 上 (文春文庫)

サル学の現在 上 (文春文庫)

  • 作者:立花 隆
  • 発売日: 1996/01/10
  • メディア: 文庫
 

 若いときにこれを読んで大ショックを受けました。私が子供のころから親しんでいた動物番組とあまりにもちがっていたのです。

 

私の家は両親ともに公務員。とにかく保守的で、教育係は母親。母は子供になんのテレビ番組を見せるか悩んでいたようです。

 

当時いかりや長介でおなじみのドリフターズは、ものすごいブームでした。だけど母親からすればトンデモナイ低俗番組です。

 

そりゃあね、バンバンたたきあうし、ストリッパーの真似はするし、確かに低俗。絶対に見せたくないでしょうね。だけど、見せないと子供が小学校でつらいめにあうかもしれない。しぶしぶ見せてくれました。

 

こんな母親が安心して私に見せたのが動物ドキュメンタリー「野生の王国」です。

 

母いわく、「動物番組は嘘がなくていい。他の番組は嘘つきばかりだから。」

 

この嘘というのは時代劇のどうでもいい時代考証のことです。例えば、江戸時代に布団カバーがあるはずがないというようなこと。

 

たしかに野生の王国に時代考証の間違いはありません。価値観的に公務員家庭に危険なものもなし。

 

草食動物シマウマが肉食動物ライオンに襲われているシーン=働くお父さんの象徴

子を幼くして亡くした母ザルが、冷たくなった我が子を抱き続けるシーン=母の愛の象徴

 

来る日も来る日も野生の王国を見続けて成人した私は「サル学の現在」を手にとった私はその内容に驚愕しました。

 

まず、ライオンのオスは家族のために狩をしない。シマウマは独り占めしたい。

 

サルのメスは我が子が死んだかどうか、においで判断する。しばらく抱いて世話をし、においが変わったら捨てる。足で踏んでも平気。

 

サル山にボスはいるがリーダーではない。単にメスをいちばん多く所有するオスというだけ。

 

サルのオスはよく子殺しをする。

 

サルのメスは若くして母親になると、育児放棄したり子を殺ししたりする。

 

今でこそこういったことをNHKの動物番組でもやりますが、昔はそうではありませんでした。

 

私に衝撃を与えた名著が文庫とはいえ2円で手にはいってしまうとは…いい時代ではあります。