非結核性抗酸菌症そらりす

非結核性抗酸菌症の患者の日常・投薬歴・入院歴です

今週のお題「雪」雪と試食魔

今週のお題「雪」

子供のころ、雪うさぎを作りました。南天の赤い実が目、緑の葉が耳。あまり雪の降らない地方だったので、少しの雪が珍しかったのです。

 

大人になって東京に出て、はじめて大雪というものを経験しました。東京ってごくたまに大雪が降るんですね。ここではじめて私は雪のめんどくささを知ることになりました。

 

当時、長靴さえ大したものを持っていなかっので足はびしょぬれ。転ばずに歩くのがせいいっぱい。出先で靴下を買ったり、タオルを買ったり。仕事を終えてなんとか家に帰りつけば、アパートの階段には雪が積もったまま。雪かきの道具もないので、プラスチックのちりとりでなんとか雪かき。ああ、たいへんだあ。

 

そして何十年かがすぎ、雪にロマンチックな感傷をもつにはあまりにも手遅れな50代のある日、また大雪が降りました。

 

この大雪の中、販売のパートにいかなきゃならない。ユーウツです。「今日は大雪だからショッピングセンターごと店は休みです」という連絡がはいらないものかしら。だけど、はいらないんだな、これが。

 

前日から雪の予報ではやっていたし、さすがに長靴も替えの靴下もタオルも用意万端。電車も遅れるだろうから、かなり早く家を出ました。雪は吹き降りで、もう15センチくらい積もっています。

 

吹き降りだから傘もろくにさせない。もう、こんな日にお客もほとんどこないだろうし、休みでいいよなあ。私が客ならぜったい外に出ないな。こんな日にくるお客ってよほどさしせまった買い物があるんだろうか。 別に明日買い物したっていいじゃない、いや、明日にしてください、お願いします。

 

そう心の中でブツブツ言いながら電車に乗り、職場のある駅で改札を出た瞬間、驚きました。私の隣の改札口を「試食魔」がとおっている!

 

食品系の販売の仕事をしたことのある人ならたぶん知っている「試食魔」。商店が試食用に出しているものをガッツリ召し上がって、いっさい買うこのをしない人のことです。別に違法というほどの行為じゃないけど、商店側にきらわれてしまうのは仕方ない。

 

私が改札口で出会ったのは、その界隈で有名な試食魔。試食以外にも問題をおこしてショッピングセンターで出入り禁止を言い渡され、それでも毎日通ってくるという噂のおばさんです。

 

たぶんまだ40代くらいなのに白髪頭でポニーテール。黒ずくめの服装に不似合いな、ポップなイチゴ柄のついた大きなバッグ。特徴的な姿だから見間違えるはずはありません。

 

こんな雪の日にもくるんだ、試食のために。しかも時間の余裕をもって。なんて「勤勉」なんだろう。大雪の日に休みたかった私なんかより、よっぽど勤勉。大雪なんだから、試食休めばいいじゃないか。でも、休まないのね。

 

試食魔といっしょの通勤で、やりきれなくなった私は、もう試食を出したくなかったけど、ルールだからやっぱり試食を出します。すると、おそらく開店と同時に建物にはいって機会をうかがっていた試食魔のおばさんは、ものすごい速さで試食のタッパに近寄り、根こそぎたいらげていくのでした。

 

その後、かなり危険度が高い台風がきたときも、政府が危険な暑さだから外出を控えるように呼びかけた夏の日にも、試食魔のおばさんはやって来ました。

 

ああ、理解できない…大したオチがなくてすみません、でも、本当に理解できないものですから…