口コミで聞くしかない病気の情報
ネットをさわってると、あまりにたくさんの情報があるので、ここにすべての情報があるような気がしてきます。でも、それは錯覚。
私は昔、つぶれかけた会社でバイトしたことがありますが、そのときほど「周りの人たちとコミュニケーションとっといてよかったー」と思ったことはありませんでした。だって、小さい会社がつぶれかけてる関係の情報がネットに出ることなんてまずないですから。こういう場合、口コミが大切な情報源になります。
病気に関しても、口コミでしかはいってこない情報もあります。それは、自分の家族や親せきがどんな病気をしたか、どんな病気で亡くなったか、という情報。
一個人である私の家族や親せきの病歴が、ネットにのっているはずがない。(のっていたらコワイ)
非結核性抗酸菌症は人から人へは感染しないので、同じ家に住んでいる家族が全員かかるということはありません。
でも、遠くはなれて住んでいる兄弟や親子で、それぞれに非結核性抗酸菌症を発症することはあります。これは、この病気にかかりやすいかどうかが、ある程度遺伝で決まるから。家族や親せきがこの病気を発症したら、特にタイプが似ている場合、自分も発症する可能性はあります。
私の父も晩年この病気にかかっていました。
父はとても無口な人だったので、私にも、ほかの家族にも、この病気のことは一言も言いませんでした。亡くなってはじめて、家族は主治医から話を聞いたのです。
もし父がよくしゃべる人間だったら、自分の病気のことも色々しゃべって、私にその病気の情報が伝わったかもな、と思うこともあります。伝わったからと言って、私が「自分もかかるかもしれない」と警戒して病気から身を守れたかどうかは疑問ですけど。DNAという言葉も今ほど普及してなかった当時、家族の病歴が今ほど問題視されてもいませんでしたし。
私の父ほど極端でなくても、高齢者は病気のことを、ぎりぎりまで娘や息子に隠す傾向があるみたいです。だから、情報が伝わりません。話してくれれば、下の世代が用心することができるかもしれないんだけどな。