先生、患者が「賢明なご判断」するのって、すごくたいへんなんだよ。けっこうカナシイんだよ。
しゅうしゅうと燃えるような白と青、黄色が見えないからバナナは薄茶色、視界の真ん中をもやがおおう、異常な視界で迎えた2016年正月。
まぶしくてたまらないからサングラスをかけて、病院があいたその日に呼吸器科に行きました。
いつもの主治医は休みで、別の女医さんが診察してくれます。私はこれまでのことを色々うったえました。
目の症状のこと。
眼科で検査をして「エサンプトールの副作用の疑いが強い」と言われたこと。
この病院の救急外来にも連絡したこと。
眼科の先生には「エサンプトールをやめるかどうかは、呼吸器科の先生に相談してください」と言われ、この病院の救急外来でも同じことを言われたことも。
先生は、「それで、エサンプトールはどうなさいました?今日まで飲んでました?」
私「いいえ、すぐやめました。」
先生「賢明なご判断です。」
良かった…私の判断は正しかったんだ。ありがと、先生、ほめてくれて。
でもね先生、患者が「賢明なご判断」するのって、すごくたいへんなんだよ。けっこうカナシイんだよ。
涙は、帰り道で出てきました。いいや、泣いたってサングラスで見えないし。なにせ真っ黒なサングラス。夫から借りた、いつ買ったのぜーんぜんわからないダサイ色眼鏡で、光と人目から二重に守られて、私はなんとか家まで帰りつきました。
非結核性抗酸菌症、この病気はとてもやっかいです。私のレベルまで進行すると、イタイケな患者ではとてもいられない。
イタイケじゃない患者だから、ネットで必死に検索して体験談を見つけることができました。だから、勇気を出して薬をやめることができた。まだ、障害は治ってない段階だけど、とりあえずよかった。ネットよ、ありがとう!
けれど、この時ふと考えました。私はこの病気になる前からネットで検索癖があったけど、検索癖のない重症例の人はどうしているんだろう。
本屋で、図書館でこの病気について調べるんでしょうか。この病気の情報を、本の背表紙から探すのは、かなり難しいと思います。
それとも、従順な患者として生きた結果として、目の障害やほかの副作用に苦しんでいるの?悲しすぎるよ。(重大な副作用として、ほかに難聴があります)
非結核性抗酸菌症の重症例の多くは高齢者らしいから、たぶん、ネットは使えない人が多いかもしれません。スマホは使えても検索は不得意かもしれない。
「我慢が美徳」の世代ならなおさらまずいです。目の症状については「年のせい」とか思って、なかなか口にしないと思う。
これは大きな問題だと思います。まずいよ。