非結核性抗酸菌症そらりす

非結核性抗酸菌症の患者の日常・投薬歴・入院歴です

アイスクリームとビール

暑いですね。

ウチは、太陽光を遮る屋根も壁も貧弱で、冷房をかけていてもひどく暑いんです。

去年(2020)の初冬、そらりすが在宅酸素療法を始めてほぼ引き籠もり状態になったときから、夏になったらどうなることやらと心配していました。対策としてはエアコンの設定温度を下げるぐらいしかないのですが、冷房で冷やしたら冷やしたで、それも彼女は弱いのです。

そらりすが亡くなったのは5月でしたが、存命で闘病生活が続いていたとしても、この一、二週間の暑さに彼女は耐えられたかな、と考えてしまいます。ただでさえ息が苦しいところに、熱気と湿気でさらに辛い思いをするのだったら、こういう結果でよかったのかもしれないという気もしないではありません。早すぎた死はもちろん悲しいのですが、暑さに苦しむ彼女の姿を想像するのも胸が痛みます。

 

そらりすが暑さに弱いのは、病気がひどくなる以前からでした。痩せて胃腸が弱くて、汗もあんまりかけない体質で、熱のダメージをもろに受けてしまうのでしょうか。毎年、夏はしんどそうにしてました。

「負けないよ」

冗談っぽく虚勢を張って言う彼女に、私は「もう負けてるじゃないか」とからかって、二人でよく笑ったものでした。

胃腸が弱いので、冷たいビールやアイスクリームもNGでした。30代ごろまでは大丈夫だったはずですが、だんだん自分でセーブするようになって、ビールならひと口だけ、アイスクリームもひと匙だけみたいな時期もありましたね。

もともと食が細いくせに味にはうるさいやつで、それがちょっとしか食べられないから安物はいやだということで、ハーゲンダッツのストロベリーのイチゴの赤い部分をスプーン一杯だけ食べ、「わがままなお姫様みたいだな」と言いながらあとは私が食べたりしていたのも、今になってみれば楽しい思い出です。

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去年の夏には、そんなことももうできなくなっていました。私が発泡酒を飲んでいるのを見て、「いいなあ、わたしも飲んだくれたいなあ」と言ってはいましたが。

「ちょっと舐める? ビールじゃないけど」

「だったらいらない」

でも、ビールだったとしても彼女は飲まなかったでしょう。

 

もし天国というものがあるとしたら、今は好きなだけビールを飲んでハーゲンダッツを食べているのかどうか。なんとも言えませんが、少なくとももう苦しんだりガマンしたりはしなくていいんだよね。あなたは、十分がんばったからね。