「パラサイト半地下の家族」つながりで、「グエムル」を見た
「パラサイト半地下の家族」つながりで、ケーブルテレビで同じポン・ジュノ監督の「グエムル_漢江の怪物」をやっていました。以前から傑作と聞いてはいたので、観られてよかったです。
怪物にさらわれた少女を必死にとりかえそうとする家族の物語で、奮闘する父親をソン・ガンポが演じています。もうホントにダメダメなオヤジなんだけど、なんか応援したくなってしまう。なぜか目が離せない。不思議なくらい人をひきこむ。名優だなあ、と思います。
「グエムル」は韓国語の「怪物」をカタカナ表記したものだそうで、怪獣の一種というわけではありません。2006年公開当時、「ゴジラみたいな映画かな?」と思って見に行った人はがっかりしたんじゃないでしょうか。
まず、このグエムル、サイズが小さくて、中型トラックくらいの体長しかありません。このサイズではゴジラみたいに派手に東京タワー壊したりはできっこない。家族数人でなんとかぎりぎりやっつけられる大きさだから、家族の物語が生きてきます。
英語のタイトルが"THE HOST”となっていて、意外な気がしました。HOSTは宿主生物というほどの意味で、グエムルがウィルスを媒介する生物かもしれない、という設定になっています。豚コレラの豚、鳥インフルエンザの鳥のようなもの。
グエムル出現は、米軍が化学物質を漢江に垂れ流したことが原因であることが暗示されています。米軍による実際にあった化学物質の不法投棄事件が下敷きになっていて、政治的なメッセージ性があります。
ここ最近、韓国についてはいろいろ報道されたから、映画に反米感情が強く漂っているのも理解できましたが、2006年の公開当時、私がこの映画を見たとして、この感じ、理解できたでしょうか?たぶん、わからなかったと思います。
国同士の関係が悪化したせいで、いろいろ報道されて知ることが増え、結果として映画の理解が深まってしまうとは…皮肉といえば皮肉ですが…
全体に政治風刺劇の強い感じで、「パラサイト半地下の家族」もそんな感じなのかな?劇場まで行く元気はないから、1年後くらいに見ることになりそう。