ハードボイルドの読みまくりをしようかな、と
ミステリーというか、ハードボイルドの読みまくりをしようかな、と。
たまたまジャック・ヒギンスの「死にゆく者への祈り」を読んで、よかったものですから。この作家は冒険小説の大家ですが、私は読んだことがありませんでした。代表作は「鷲は舞い降りた」という戦争もので大傑作らしいのですが、作家自身がいちばん気にいっているのはこの「死にゆく者への祈り」だとか。
たしかに、登場人物が古びた教会と悪人の本拠地を行ったり来たりする地味な舞台設定ではありますし、ハードボイルドにありがちな、ちょっとカッコつけすぎ、センチすぎってところもあるんですが、でも、でも泣かされてしまった…
こんな小説を読んで泣かされてしまう自分。ああ、私って古いなと思います。
過去をひきずる男、盲目の娘との淡い恋、心やさしい娼婦との心のふれあい。もう書いているだけで気恥ずかしくなってくる…。
若い時の私なら、「クサイ」と思って読まなかったかもしれません。若い時には、もっとぶん殴られるような小説を読みたいと思っていました。(ぶん殴ってくれたのはフォークナーです)
私はもう若くなくなって、疲れてしまったのかもしれません。でなければ、息切れのせいで脳に酸素だの血だのいってないのかも。古いハードボイルド小説、またはハードボイルド的小説は、ぶん殴ってきません。書かれた当時はそうじゃなかったとしても。
今さら好みを変えることもできないし、もう開き直って邁進しちゃおうかな、というわけで、次の一冊はスチュアート・カミンスキーの「愚者たちの街」。これもよさそうな感じです。