咳を止めろと言われても
子供のころ咳をするたびに、夫は父親から「咳、止めえっ」と言われたそうです。
寝るときに布団にはいると体が暖まって、咳が出てくる、それを夫の父親は止めろと言う。気合いで止めろと言われてまだ子供の夫は、一瞬、咳を止める。止めたという自覚なんかないまま咳は恐怖で止まっただけだから、後でまた必ず出てきます。
後日アンズ飴の咳薬を買ってきたそうですから、子供を思いやる気持ちがないわけではない。
夫は私が咳こむたびに、この経験を思い出して「咳を止めろ」という言葉をぐっとこらえるのだそうです。
もしオレがこういう体験をしていなかったら、おまえにもっと辛くあたったかもしれないな。
よくこんな風に言います。ああ、よかった、夫がこういう人で。
彼は、お金を稼ぐのに向いた人ではありません。はじめての就職先はスーパーの花屋でした。店の花束の残りをよく持ってかえって私にくれました。
これがまだ在学中の私にはうれしくて。同級生たちもうらやましがって。特に都忘れだったときは最高。だって国文科だから
鎌倉時代に承久の乱で敗北し佐渡に流された順徳天皇が都忘れを見て「少しだけでも都のことを忘れられる」と慰められたそうです。それが「しばしの慰め」の花言葉に繋がっています。