気つけ薬としては効いている済仁。臭いからかも
丸薬「済仁」は息切れに効くというよりは、にわかにちょっと元気にしてくれる感じです。効能のひとつに「気つけ」とありましたが、それなのかな?
そういえば、気つけ薬って、ヴィクトリア王朝期を舞台にした映画や小説にけっこう出てきた気がします。上品な貴婦人がなにかにショックを受けて気を失いそうになると、そばにいた男性がきつけ薬でしっかりさせる…というようなシーンがよくありました。
その気つけ薬の中身って、なんだったんだろう…まさか済仁ってことはなさそうだけど。
調べてみたら、その中身は済仁ではありませんでした。その名もなんと、smelling solt (臭い塩)。
飲み薬ではなく、嗅ぎ薬です。主成分は、炭酸アンモニウムという物質の粉末。炭酸アンモニウムはアンモニアを発生させます。このアンモニアの臭いが気つけの効果をもちます。
ちょっと驚きました。アンモニアの臭いって、トイレのあの、アンモニア臭です。
ヴィクトリア王朝期ものって華やかで上品だから、まさかアンモニア臭で貴婦人の意識をはっきりさせていたとは夢にも思いませんでした。画像や本から臭いが出ることはないので、こういうことはなかなかわからない。
ヴィクトリア朝の貴婦人はコルセットでウェストをぎゅうぎゅうに締め上げていたので、ちょっとしたことで気を失うことが多かったそうです。そこで対策として大流行したのがsmelling solt 。歴史は古くて、ローマ時代からあるとか。
済仁は飲み薬だからsmelling solとはぜんぜん違うけれども、もしかして、強烈な臭いも効果にひと役かっているのかもしれません。
今のところ、漢方薬が非結核性抗酸菌症に効いているのかどうか、正直言ってまだわからないから、だましだましいくしかないことには変わりなく…息切れ自体治らなくても、なにか香りのきついもので症状をごまかせるなら、その手もありかな、と。
アロマのレモングラスあたり、効果があるかもしれないな。試してみようかと思っています。
ちなみに、smelling solt 専用のガラス瓶は今でも残っていて、アンティークとして買うことができます。臭いものがはいっていたなんてとても思えない、おしゃれな瓶。