いい鳥 悪い鳥
まだ若いころ、父と夫と私でテレビを見ていました。
ごく普通の動物番組です。カメの子供の一人立ちを、グンカンドリが上から狙う、という。
そこに台所からもどった母がテレビを見て叫びます心。
「ダメ!グンカンドリはダメ!」
驚きましたが、あまりにも父が平然としているので、聞きそびれました。
どうやらかわいいカメの赤ちゃんの巣立ちを狙う、グンカンドリのような鳥は母に悪い鳥認定されているらしい。
他のかわいい動物の赤ちゃんを狙うヤツは悪いヤツ、狙わない鳥はいい鳥、
なんて自分勝手な…
そう言えば、私が子供もころからこういう単純すぎる傾向が母にはあったと思います。
やだなあ、私もその影響を受けてるんだろうな。気をつけないと、頭がいい鳥悪い鳥で、鳥を考えるようになる。
鉢植えのクロッカスを全文ヒヨドリに食われたときは「悪い鳥めが!」と二元論的復讐心をもやしたとはいえども。
単純すぎるのはよくない。
すこし前に読んだ本で、アメリカの刑務所内図書室を扱ったものがありました。
どこの刑務所図書室でも動物番組のビデオを貸していて、人気だそうです。
その観戦風景が、お、驚きなんだな。
トムソンガゼルがライオンに襲われるというおなじみのシーンに、拳をふりたてて、大盛り上がり。
「やれっ」「やっちまえ」「そこだっ」「殺せっ!」
刑務所とはいえ、これって単純思考の行き過ぎの姿…まずいだろ…
最近の動物番組は単純ではなく、深海のワケわからない生き物についてもよくやっているから、そのへんに期待したい。
二元論的な心は危険です。もっとワケわからない心をはぐくみましょう。