咳止めが効かなくなったころ
この病気で咳はつきものですが、個人差が大きいようです。病状が進んでも、ほとんど出ない人もいるらしい。
私は発病時から咳が出ていたので、パートで働く都合上、咳止めは飲んでいました。はじめはメジコン、2年くらいで効かなくなってリン酸コデイン5mgに変更。
それも数年で効かなくなり、最大量のリン酸コデイン20mgを出してもらいました。先生に、
「これは麻薬扱いだからね。この薬をもって外国へ行こうとすると、飛行機おろされるかもしれないから、持っていかないでね。」
と言われておびえたのが悪かったのか、飲んだらめまいがしてしまいました。
結局元のリン酸コデイン5mgでだましだましやっていましたが…ある晩、奇妙な息苦しさを感じて目を覚まし、ガバッと起き上がりました。
体が前と後ろと逆方向に引っ張られるような、おかしな苦しさ。半分咳きこもうとしているのに咳が出ないような…
この発作のような感じは数分で収まりましたが、私はこのときはじめて
「私の体は咳を出したいのかもしれない。」
と思いました。
それまで、自分の都合で考えていたので、職場での咳はできればゼロにしたいと思っていました。夜も眠れないと困るし、休みの日も咳をしたくない。結局、毎日処方されたリン酸コデインを飲みます。でも、それは私の都合であって、私の体の都合ではなかったかもしれない。
このころ、呼吸器科の主治医は、咳の原因はほかにあるかもしれないと考えて、私に耳鼻科で喉にポリープがあるか診てもらうようすすめました。結果は
「ポリープはないけど、タコはあります。」
つまり問題なし。
この病気の咳がなんのために出るのか、この時点まで私は考えていませんでした。もちろん、大した説明も受けていませんでしたし。