点滴の針をジョイント式にしてくれた人に感謝
二度目の入院のとき、アミカシンの点滴をしました。点滴の頻度は一日おき。点滴にかかる時間は40分から1時間程度でした。
点滴の針をさすときの痛さは普通の注射と同じくらい。この針は点滴用のもので、針のおしりにチューブがつながっています。このチューブには途中にジョイントがついていて、点滴液のバッグからのチューブとカチッとつなげられるようになっています。
点滴しないときは、ジョイント部分にキャップをはめておきます。
針は刺したままにしておき、交換するのは5日に一度くらい。キャップをはめた状態で、上からラップフィルムのようなものを看護師さんに巻いてもらえれば、お風呂にはいることもできる。うまくできているなあ、と思いました。
でも、ジョイント式のありがたみを身をもって知ったのは、じつは退院してから。
一カ月の入院の後も、私は半年間、通院で点滴をつづけました。頻度は週に二回、できれば三回。
通院での点滴を行うのは、集中治療室。点滴だけではなく、注射や、ネブライザー使用など、いろいろな治療目的の患者さんでけっこう混んでいます。
通院での点滴の針は入院時と違いました。針から点滴バッグまでジョイントなしでつながった状態。
はじめのうちは何とも思いませんでした。針を入れる時の痛みは同じだし、点滴にかかる時間も同じ。
ところが、三カ月をすぎたころから、点滴の針がうまく入らず、やり直すことがぼちぼち出てきました。どういうわけか、失敗すると針を入れた部分がメチャクャ痛いことが多く、そうなると、もう一度針を入れてもらうときについ緊張しがちで、よけいにうまくいかない。
はじめのうちは、入院中の看護師さんのほうが集中治療室の看護師さんより針を刺すのがうまかったのかな?と思っていましたが、そういうことではないらしい。
ベテランらしい看護師さんが教えてくれましたが、どうやら頻繁に点滴をすると、血管がかたくなるらしいです。
入院中は5日に一度、退院後は週に2、3回。この頻度の差が、積もり積もって三カ月くらいして出てきたということになります。
私は右手と左手と交互に行っていましたが、それでも血管は固くなってしまいました。今でも左手の内側の血管にごく小さいコブのようなものが残っています。
長く入院治療をした高齢者の腕が青黒く膨らんでしまう、ということは新聞かなにかで読んで知っていましたが、実感をもって考えたことはありませんでした。そうか、たしかに点滴を繰り返せば、そうなるかもしれない。
針を刺す回数が増えれば増えるほど、血管は固くなります。血管が固くなると針がはいりにくくなるから、失敗する。失敗すればさらに針を刺す回数は増える…この悪循環にはまれば、患者の腕は痛々しい状態になるでしょう。もちろん、痛みを感じる回数も増えます。
ジョイント式がなかった時代なら、患者の苦しみはもっと大きかっただろうなあ。
このジョイント式、だれが発明してくれたんだろう。とってもありがたい発明です。これからも点滴のお世話になるかもしれない私としては、心からその人に感謝したいです。