非結核性抗酸菌症そらりす

非結核性抗酸菌症の患者の日常・投薬歴・入院歴です

発病したときの続き

発病したときの続きです

おじいちゃん先生、なんて書いてみるとかわいいけど、もしかしたら、この先生のしてくれたことがまずかったのかな、と思うことがあります。

 

2008年、夫が働いていたネットベンチャーが倒産し、私が夫からまわしてもらっていた在宅仕事もなくなり、夫婦で無職になりました。悪いことにリーマンショックの年で、バイトすらなかなかない状況…去年まで働いていたパート先にたどりつくまで、派遣切りやらクビやらブラック的職場からの自主退職やら…

 

こういう状況で非結核性抗酸菌症を発病した私は、経済的な余裕がありませんでした。二ヶ月くらい通ったあと、薬はジェネリックにしてもらおうと思いました。病院でお願いしましたが、断られてしまい…仕方なく、病院を変えようとしたけれど、それも強く引き留められて…

 

おじいちゃん先生が奥に聞きにいっている様子からすると、たぶん息子か婿にあたる院長先生の方針のようです。おじいちゃん先生は折衷案として、今までの抗生物質の三剤投与を、クラリスロマイシン一剤に変えました。

 

確かに、薬代は安くなったし、すごい勢いで症状は改善していきました。

 

クラリス一剤投与は半年で終わりました。私も働き口がやっとみつかり、ジェネリックでなくてもまあいいかな、と思えるようになっていましたし。

 

このころ、私はこの病気について何も知りませんでした。クラリス一剤投与は耐性菌をつくってしまうからタブーであることを知ったのは、ずっとずっと後のことです。クラリスの耐性菌が出てくるのは約半年後だそうで、おじいちゃん先生はそのへんは考えて処方したのかもしれませんけど…

 

数年後、近所で犬の散歩をさせているおじいちゃん先生を見かけました。私は、よほど「先生、私は先生にクラリス一剤投与のを受けた者です。おかげでちっとも治っていませんよ」と言ってやりたかったけど、やめました。クラリス一剤投与のせいで病気が治らなかったとは限らないし。

 

小柄なおじいちゃん先生は大きすぎる犬にひきずられるようにして遠ざかっていきます。その後ろ姿をはそんなに幸せそうには見えませんでした。