似合わないけど、「ビッグウェンズデイ」という映画が好き
なぜか私は自分に似合わないものが好きで…「ビッグウェンズデイ」という映画が好きで、DVDまでもってます。
たぶん、80年代のサーファーブームのもとになった映画かもと思っているのですが、よくわかりません。若者のときはほんとにブームだったのに、なにせ運動神経ゼロの私だから、まったく縁のない世界でした。
その私がこの映画に出会ったのは、ブームもとっくに去ったころ。テレビの12チャンネルの「お昼のロードショー」。畳の上にひっくりかえって、なんの先入観も期待もなく、てきとうに見ていただけの当時アラサーの私はすっかり感動していました。
ストーリーとしては、サーフィンをする三人の青年の、騒がしい青春期から苦いベトナム戦争時代にかけての一種の友情物語です。この男の友情ものっていうのが私にはちょっと泣き所なんだなあ。たとえば、スティーヴィン・キングの「スタンド・バイ・ミー」なんかもそんな感じで好きでしたね。
とはいえ、友情ものであればいいというわけではなくて、その友情がサーフィンというものなしでは語れない、というところがこの映画のすばらしいところです。スポーツならいい、サッカーでもバスケでもいいというわけではありません。
これはもう、サーフィンじゃなきゃいけない。やったこともなきゃ、浜辺で人がやっているのさえ見たことすらない私がそう思うのはなぜだろう、不思議です。
中年になった三人が災害レベルのビッグウェーブにのるシーンはあまりにもすばらしく、パイプラインと呼ばれる波にのりながら、くるっとまるまった波の内側に手をかざすシーンはふるえがくるくらい。ああ、どんな気持ちなんだろう、あそこにのって、波の内側にふれるのって。
私には絶対できないし、想像もつかないはずなんだけどな…
サーフィンって特別じゃないかな、と思います。なにが特別なのか、うまく説明できないけど。
息切れがひどくて、もはや近所のスーパーに行くのさえ青息吐息なオバサンが、痩せ細った体を横たえながら、画面の中の波乗りにあこがれている…変だよ、でも変だからこんな体で生きのびてこられたのかもしれない。
映画の最後のほうに、ロペスというサーフィンの世界でとても有名な人が出演しています。このロペスの潮風にさらされた笑顔にもふと胸をつかれる、おすすめの映画です。