非結核性抗酸菌症そらりす

非結核性抗酸菌症の患者の日常・投薬歴・入院歴です

「あなたの体の9割が細菌」の中の感動エピソード

 ちょっと前に読んだ「あなたの体の9割が細菌」は興味深い本でした。今回は、非結核性抗酸菌症とは直接関係ありませんが、感動的なエピソードがあったので、書いておきます。

 

自閉症と診断された子供をもつ母親が、発症の原因を調べまくり、ついにその原因が腸内細菌叢にあると発見するというエピソードです。そのうち映画化されてもおかしくないくらい感動的です。まさか、腸内細菌の本を読んで涙ぐむとは思わなかった。

 

その母親はすでに3人の子供を育てていて、自分の子育ての感覚には自信をもっていました。4人目の子供の様子がおかしくなり、自閉症と診断されても彼女はすぐには信じなかった。様子がおかしくなるまでは、前の3人と変わらぬ元気な子供だったからです。

 

ここからの彼女の努力はすごいです。担当医に限らず複数の医師と相談、医師の一人から学術論文も読んだほうがいいと指摘されると、なんとかがんばって論文が読めるようになってしまう。

 

そして、その子が耳の炎症のために抗生物質を投与されていたことに着眼します。そのことがきっかけで腸内細菌叢が乱れてしまったために、「脳腸相関」という脳と腸内環境との関係により、自閉症を発症したという持論をもつにいたります。

 

彼女は持論を認めて治療してくれる医師を探しました。治療を受けて、その子供の状態は大きく回復します。

 

ただ、素人の彼女が多くの医師に会ったり、連絡をとったり、慣れない論文を読んだりしているうちに時間はたってしまったので、まったくの健常な状態には戻れませんでした。でも、本には彼女の一家の家族写真が載っていて、そこには成長した4人目の子供がいい感じで笑っています。

 

腸内細菌叢に注目することで、自閉症の改善の可能性があるという、未来に希望の持てるエピソードでした。

 

以前、まったく別の本で、「自閉症の子供には慢性的な下痢がある場合が多い」という記述を読んで、不思議だなあ、と思っていました。慢性的な下痢の原因は、自閉症に多い偏食のためとも言われてきましたが、そもそも、どうしてそんなに偏食なのか。腸内環境が偏食をうながしている可能性もあるってことですね。

 

私は自分の病気についてけっこう調べているつもりだったけど、この母親には遠く及ばないなあ。この母親に「学術論文を読んだほうがいい」と助言する医師がいるということにアメリカという社会の懐の深さを見た気がしました。

 

あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた

あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた